2007年3月31日土曜日

浮気されました。猫に。

履歴書に「家族欄」ってあるじゃないですか。今はもうないのかもしれないけど。まあ、僕が学生の頃にはあったのです。たまにこの家族欄に「名前:安野きちぢ、続柄:妻、職業:猫」って書くことがあったのです。まあ、さすがに、まじめに書かないとまずいやつには書きませんが。

きちぢがうちにやってきたのは、僕が大学4年生の時でした。僕がセガサターンに夢中になっていると、窓の外で「バン!バン!」と音がするのです。見てみると手のひらサイズの子猫が網戸に張り付いていました。それが僕ときちぢのなれそめです。その後 11 年間僕はきちぢを大切にしてきました。いや、僕なりに大切にしてきたつもりでした。それなのに…

先日、仕事が終わり帰宅した僕は、深夜の我が家のドアをあけました。いつもなら きちぢが「にゃー」と鳴いて出迎えてくれます。ところがその日はどうも様子が違うのです。「にゃー」ではなくて「にゃニャー」なのです。文字で伝わりにくいのですが、ハモっているのです。鳴き声が。「は!」っと思った僕はすぐに部屋の電気をつけました。すると、そこには、きちぢと、そして、見知らぬ白猫がいるではないですか。しかも彼(白猫)は眠そうに、きちぢといっしょに、僕の寝室から出てきたのです。

まずいところに居合わせました。たしかに、僕は仕事もいそがしく、休みの日もあまりきちぢをかまってやることができません。そんなきちぢが、つい他の猫が気になってしまう気持ちはわかります。でも、しかし…、いや、なんというか、自宅ではちあわせはまずいです。僕も気まずそうな顔をしたのですが、状況を認識したきちぢも気まずそうな顔をしています。

僕は、見てみ見ぬふりをしようと、ドアを開けっ放しにして、それとなく距離をとりました。白猫が黙って帰れるように、と…。ところが、彼、眠そうに「にゃー」と鳴くだけで、帰るそぶりがないのです。するときちぢが思いもよらぬ行動にでたのです。

「ふーっ!」「しゃっしゃ!」突然、白猫に威嚇をはじめたのです!あたかも、「こいつが勝手に入ってきてこまってるんですよー」という風に。でも、しっぽの毛が逆立ってないのです。猫はほんとに怒るとしっぽの毛、逆立つんですね。でも、きちぢは、体の毛も、しっぽの毛も、ぺたんとしているのです。怒ってないんですよ。ほんとは。ポーズなんです…。ばればれです。白猫は白猫で、「え?なんで俺威嚇されてんの?」って顔でぽかんとしてます。

僕も、もう、32歳。いつまでも子供ではありません。こうなった以上、この状況を受け入れなければなりません。僕はきちぢと白猫に微笑むと、白猫に近づきました。白猫のほうも鼻をくんくんさせながら擦り寄ってきます。僕は白猫をだきあげると、そっと家の外に放してやりました。また、きちぢと遊んでやってね、と。

寂しい気もしますが、いいんです。このことは。きちぢもいつか、僕から巣立つ日がくるのです。ただ、今の問題は、白猫があまりにもかわいく、このままでは白猫まで家族欄に書くはめになってしまいそうなことです。

Joschi

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