2007年3月27日火曜日

高侵達眼底 OCT の臨床試験を開始しました

眼底検査装置としての OCT の最初の商業モデルが登場したのは 1996 年でした。その後、計測時間を飛躍的に短縮し、3 次元の眼底構造の計測を可能にした FD-OCT の最初の製品が病院の眼科に導入されたのが昨年(2006年)の事です。ここまで、全ての眼底検査用 OCT は 830 nm 付近のプローブ光帯域を使ってきました。

ところが、ここ数年、新しいプローブ波長帯域が注目をあつめています。以前、このブログのレビューでも触れた 1 um という帯域です。Vienna Medical University(現 Cardiff University)や MGH (Massachusetts General Hospital)のグループが指摘しているように、この波長帯域を用いたOCTは、従来のOCTよりも、より深くの構造が見えることがわかっています。眼底で言えば、網膜のさらに下、「脈絡膜」が高いコントラストで観察できるのです。

MGH には遅れをとったものの、COGにおいても(株)サンテックで開発された 1 um 帯域の光源をキーデバイスとして眼底検査用の FD-OCT の開発、および、応用研究を進めてきました。そして、ついに、筑波大学の倫理委員会の承認をうけ、ようやっと、臨床試験を開始しました。

最初のターゲットにしている疾患は加齢黄斑変性(AMD)です。欧米では中途失明原因の第一。日本でも増えてきている病気です。COGではすでに何例かの検査を終了し、1 um OCT が従来の OCT よりも優れているころ、逆に、従来のOCTと同じ程度の情報しか得られないところがわかってきました。

この結果は、5月はじめにフロリダで開かれる米眼科学会 (ARVO) で報告する予定です。

Joschi

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